30 伝わるもの
昨夜は、体調不良の私に代わって、夫が夕飯を作ってくれた。
私が冷蔵庫に放置していたカブを、実をお味噌汁、葉を炒め煮にしていた。
カブの葉の炒め煮を一口食べて、ふと感じた。
義母の味に、似ている。
これ、美味しいねと夫に話しかけると、
「ちょっと甘くなったね。なんだかお母さんの味っぽくない?嫌なんだけど」
と、返ってきた。
「そうかな、素敵なことだと思うよ」
私はそう答えた。
夫は、料理上手な義母の味を、しっかり食べて育ってきたんだろう。
自然と似てしまう味は、義母が日々の生活で伝えたものを、息子である夫が受け止めた結果だと思った。
私はレシピを見ながら分量を計って料理を作るのが好きなので、息子に自分の味というのは伝えられないかもしれないけど(笑)、
料理の味以外でも、息子を育てる中で、何か伝わるものがあるといい。
私の中にあるだろうか?
考えながらカブの葉を食べて、優しい気持ちになった。